ターポリン幕の品質は何で決まる?素材選び・印刷データ・加工のポイントを専門店が解説
横断幕や懸垂幕、足場幕などを製作するとき、「できるだけ高解像度のデータを用意すれば、きれいな幕ができる」と考える方も多いかもしれません。
もちろん印刷品質は重要です。しかし、ターポリン幕の仕上がりを左右するのは印刷機の性能だけではありません。
どの素材を使うか、どの程度の距離から見られるのか、どのように固定するのか、風をどの程度受ける場所なのか。
こうした条件まで考えて仕様を決めることで、初めて用途に合った幕になります。
今回は、ターポリン幕を製作する際に印刷会社がどのような点を見て仕様を考えているのか、少し専門的な視点から解説します。
「ターポリン」ならどれでも同じ、ではありません
ターポリンとは、一般的にポリエステル系の繊維を樹脂で覆ったシート状の素材です。丈夫で水にも強いため、屋外用の横断幕や懸垂幕などに広く使われています。
ただし、一口にターポリンといっても種類はさまざまです。
例えば、とまとの幕屋さんで取り扱っている素材にも、通常の横断幕などに使用する厚さ320μmのターポリン、屋外大型幕向けの厚さ430μmの厚手タイプ、風が抜けやすいメッシュタイプ、裏側の光や絵柄が透けにくい遮光タイプなどがあります。
つまり、
「ターポリン幕を作りたい」
というだけでは、本来は仕様を決めるには情報が足りません。
屋内なのか屋外なのか、数日だけ使用するのか長期間掲出するのか、フェンスなのか壁面なのか、風を受けやすい場所なのか。
設置環境から逆算して素材を選ぶことが重要です。
大型幕は「高解像度なら高品質」とは限りません
印刷データについても、大判印刷ならではの考え方があります。
例えば、手元で見るパンフレットと、道路の向こう側から見る大型横断幕では、必要な画像解像度は同じではありません。
とまとの幕屋さんでは、至近距離から見る印刷物であれば300dpi程度、数メートル離れて見る横断幕などであれば100dpi程度をひとつの目安としています。
重要なのは、数字だけを大きくすることではなく、実際に掲出したときの視認距離に対して十分な解像度があるかということです。
大型幕ではデータサイズそのものも非常に大きくなるため、必要以上に高解像度な画像を使用しても、見た目の差がほとんど分からない場合があります。
逆に注意したいのが文字や細い線です。
大型出力ではデザインを大きく引き伸ばすため、画面上では問題なく見えていた細い線が、実寸では想定以上に細くなってしまうことがあります。
当店では、読ませる文字は実寸で5cm以上、線は実寸で2mm以上をひとつの目安としてご案内しています。
幕のデザインでは「細かく作り込む」ことよりも、実際に掲出される大きさと見る距離を想定して設計することが大切です。
屋外幕では「風」を考えた仕様設計が重要です
屋外用の大型幕を考えるうえで、特に無視できないのが風です。
ターポリンは面積が大きくなるほど風を受ける面も大きくなります。そのため、大型幕では印刷面の美しさだけではなく、素材や仕上げ加工についても検討する必要があります。
例えば、風を受けやすい場所では、細かな穴が開いて風を通しやすいメッシュターポリンを使用する方法があります。
また、幕の周囲を折り返してロープを縫い込む「周囲ロープ入り縫製」によって周囲を補強したり、ハトメを取り付けてロープや結束バンドで固定できるようにしたりする方法もあります。
大型の横断幕では、幕そのものにスリットを設けて風を逃がす加工を行うこともあります。
つまり屋外幕では、「どの生地に印刷するか」と「どう仕上げて、どう固定するか」はセットで考える必要があるということです。
※実際の安全性は幕だけでなく、設置場所や固定方法、構造物、気象条件などにも左右されます。屋外へ設置する際は、設置環境に応じた安全確認が必要です。
3,100mmを超える大型幕はどうやって作る?
大型幕では、印刷機や使用する生地の幅よりも大きなサイズが必要になることがあります。
とまとの幕屋さんでは最大幅3,100mmまでの大型出力に対応していますが、それを超える幅の幕についても、条件によっては「ウェルダー加工」で製作できます。
ウェルダー加工とは、複数のターポリン生地を熱圧着して接合する加工です。
これにより、一枚の生地幅を超える大型の横断幕や懸垂幕も製作できるようになります。
ただし、大型幕ほど「どこで生地をつなぐか」「縫製やハトメをどこに配置するか」といった仕上げの設計も重要になります。
単純にデータを大きく印刷するだけではないところが、大判幕製作の奥深いところです。
幕印刷は「設置された状態」まで考えて作る
ターポリン幕の品質というと、つい「発色がきれい」「写真が鮮明」といった印刷面だけに目が向きがちです。
しかし私たちが考える幕印刷の品質は、それだけではありません。
設置場所に適した素材であること。必要な距離から文字が読めること。適切な加工が施されていること。そして実際の使用環境に適した仕様になっていること。
こうした条件を総合して考えることが大切です。
とまとの幕屋さんでは、横断幕・懸垂幕・応援幕・足場幕・店頭幕・イベント幕など、さまざまな大型幕の印刷に対応しています。
「この場所ならどのターポリンがいい?」「このサイズならどんな加工が必要?」といった、まだ仕様が決まっていない段階でのご相談もお気軽にお問い合わせください。